不動産投資をはじめてみたいけれど、土地を持っているわけでもないし「新築」なんてとても無理。お金が無いからがんばっても中古アパートが精一杯。
と思っているあなた。。。要注意です。
中古アパートは「金額が安いから買いやすいだろう」というだけでなく、さまざまな観点から見ておかなければ、あとで痛い目を見ることになります。
ここでは中古アパート購入のメリットとリスクについて解説します。
中古(築古)アパートのメリット
価格が安く、利回りが高いものが多い
新築アパートは、土地を仕入れて建物を建てる業者がたくさんあり、その業者がいわゆる「建売物件」として販売しています。
その分、土地を調査するための費用や広告費などが販売価格に上乗せされるため、実際の資産価値に比べるとどうしても割高になります。
自分で土地を探してきて、建築業者に依頼して建てるのがコスト的にはリーズナブルですが、場所選びにかける負荷や業者との信頼関係のリスクもあるので、これもまたハードルが高いです。
一方、中古(築古)物件の場合は、建物の物質的価値は低く、ほぼ土地の値段=資産価値になります。土地値相当で購入することができれば割安に感じるし、建物が古くなって持ち主が物件を早く処分したいケースでは特に、安い価格=高い利回りが設定される傾向にあります。
家賃収入の変動が少なく安定している
アパートの家賃は、築年数の経過とともに少しずつ下がっていきますが、常識的に考えて必ず下げ止まります。どんなに下がっても家賃が0円になるはずはないし、そのエリアの賃料相場というものもあるからです。
古いアパートはすでに賃料が下がりきっていて、それ以上家賃収入が下がる心配がない、というのも安心材料です。
家賃が下がらず安定しており、物件価格は土地値に近いのですから、当然ながら高利回りが期待できます。
新築よりも投資効率が良い
新築に比べて利回りが高いということは、少ない投資で大きなリターンを得ることにつながります。
たとえば同じ一棟アパート・6室で、
新築は6,000万円、中古は4,000万円だったとします。
そこから一部屋あたりで得られる家賃収入は、新築が6万円、中古が5万円として
新築:家賃6万円×6室=36万円×12ヶ月=432万円
中古:家賃5万円×6室=30万円×12ヶ月=360万円
この家賃収入を物件価格で割ったものが利回りなので
新築:7.2%
中古:9.0%
となります。中古の方が少ない金額の投資で、高い比率のリターンがあることがわかります。
これは単に投資効率が高いということだけにとどまらず、空室や修繕での突発的な支出にも耐えやすいということを意味しています。
売却時に利益を得やすい
土地値相当で購入することができれば、売却する時も資産価格が大幅に下がることは考え難く、比較的売りやすくなります。3,000万円の土地が5年後にいきなり2,000万円や1,000万円になる可能性は極めて低いので、少なくとも買ったときと同じくらいの値段で売却できることが多いです。そうなると、所有していた期間の家賃収入の分だけ利益になるのです。
もともと高い利回り=安い価格で購入していれば、売る時には買ったときよりも高い価格=低い利回りで売るチャンスが増え、価格設定の幅を広く選択できます。
たとえば5,000万円で年間家賃収入が600万円・利回り12%の物件を購入したとします。
何年か経って、もしも利回り10%で売れれば、家賃収入から逆算して6,000万円が売却価格になります。こういうことが現実に起こります。
また、空室が多くてボロボロの物件ほど安く買えるので、購入した後にきれいに修繕して満室にしておけば、売却時に1千万や2千万円は高くしてもすぐに売れるようになります。短期間で大きな利益を得られるチャンスがあるということです。
「利回り」について理解を深めたい方は、こちらの記事も参考にどうぞ
https://sakuragi-academy.com/blog/select/yield/word/
中古(築古)アパートのリスク
融資してくれる金融機関が少ない
金融機関が融資をする際の条件として、建物の法定耐用年数に対してどのくらい経過しているか、というものがあります。
法定耐用年数とは、法律で定められた減価償却の目安になるものです。「耐用」といっても「どのくらいもつか」という実際の意味とは程遠く、あくまでも税金を計算するための指標として扱われます。
木造アパートの法定耐用年数は22年。
例えば10年経過していれば、22−10=12年が残存耐用年数。
したがって融資期間は12年とするところが多いわけです。
融資期間が短いと、それだけ一年間の返済額が多くなり、手残りが少なくなってしまいます。
築年数がすでに22年を過ぎていれば、残りは0以下なので、建物に対する融資は不可ということになります。
したがって融資を受けて中古木造アパートを購入するには、ほぼ土地値相当の物件を見つけるか、残存法定耐用年数を融資条件にしない金融機関を探し回ることがポイントです。もしくは、足りない分は自己資金で賄うことになります。
購入した後に、莫大な修繕費がかかる可能性大
中古物件は当然ながら老朽化していますので、購入した後に水漏れやサビ、塗装剥がれ、建築材の破損など、さまざまな修繕対応を余儀なくされます。
また、設備も古いため、給湯器や風呂釜、トイレ、洗面台、インターホンなど、交換が必要になってくるものもたくさんあります。
そういう費用の分も含めて価格が安くなっていると言っても過言ではありません。購入時には、その後せめて5年以内に修繕費がいくらくらいかかるのか、をよく見定めておく必要があります。
空室を埋める大家力が必要
中古アパートを手放す人の理由の一つに「空室が埋まらないから」というのがあります。賃貸業を営む以上、空室リスクは常につきまとう課題で、入居者をつけるためには魅力的な部屋づくりや効果的な集客活動など、相応の努力が必要です。
親からの遺産相続などで賃貸業未経験の人が物件を得ると、その後どうやって運営していけばよいのかわからず、毎年の固定資産税ばかりかかってきて困る、といったようなケースがあります。そのような人が売りに出すアパートは、すでにボロボロで誰も住みたがらない、という物件もあります。中には「全空」といって、入居者が誰もいない、つまり現状では収入ゼロ、というアパートも珍しくありません。
どんなに安い価格・高利回りの物件を購入しても、入居者がいなければ収入にはなりません。そういう物件を購入したら、自分の才覚で部屋と建物全体をリフォームし、ひと部屋ずつ着実に埋めて満室にする、という覚悟とスキルが重要になってきます。
中古アパートを購入すべきはこんな人
自己資金を持っている
多くの金融機関は、土地と建物の価値を担保に融資金額・融資期間を設定します。その点では、新築の方がずっと有利で、中古では満額および期待する返済期間の条件を得られないことが多いです。
それでも価格が安いことは大きなメリットなので、融資を受けられない分を補完する現金を持っている人は、かなり有利に不動産投資を進められるようになります。
融資可能な金融機関を探し回る
もしくは、がんばって金融機関を開拓し、築古木造アパートでも十分な融資をしてくれる金融機関が見つかるならば、きちんと所有後のシミュレーションをして、納得できれば即買い、ということも一つの方法です。
不動産投資家としてのスキルとセンス、そして人脈がある
前述の通り、多くの空室をしっかりと埋めるだけのスキルが必要です。必要最低限の費用でリフォームし、ターゲットに合わせた部屋づくりをするためのセンスも重要。
そして、各方面で修繕を請け負う業者とのパイプがあり、自分でも修繕費の相場を肌感覚でつかむ経験と知識があることも大切になってきます。
購入時に必要な注意点とは?
そもそも投資の大原則は「安く買って高く売る」ことにあります。
この意味では中古(築古)木造アパートは良い投資材料と言えます。
ですので不動産投資のベテランは、あえて木造の中古物件を狙い、 安く買い叩いてから、自分のセンスで部屋をリフォームし、 外観をキレイにして、ターゲットに合わせた魅力的な物件に 生まれ変わらせるように努めます。
これができれば家賃を上げることも可能で、購入時よりもさらに利回りを高め、15%とか20%以上にもなり得ます。 利回り20%ということは、単純計算では5年で元が取れる、 という意味です。
ただし、売却時に利回りが高いものにはそれなりの理由があるので、空室や修繕など、所有後にかかる費用のことをしっかり頭に入れて購入に踏み切らなければなりません。
これから木造アパートを買う場合、 空室が多くてボロい物件でも、満室にする自信がある方は中古物件を、リフォームなどどうすれば良いか全くわからない初心者の方、購入後もとくに手間をかけたくない方は新築物件を購入されるのがおススメです。
新築アパート投資については、こちらの記事も参考にどうぞ
https://sakuragi-academy.com/blog/select/newapartment/