不動産投資をはじめるときに、まず一番最初に考えることは「どこに買おうか」ということかもしれません。自分が生まれ育った場所や、勤務地に近いところであれば土地勘があって、なんとなく需要もわかるんじゃないかな、と考える気持ちもわかります。

しかし賃貸住宅経営は、自分が住むところを探すこととは大違いです。幅広い知識と情報を得て、感情や偏見に流されないことが大切です。

やっぱり「一都三県」がいい?

人口が集中するのは真実か

物件購入を検討する際、やはり「1都3県がいい」という人がいます。

たしかに人口が集中していて、賃貸需要が確実だから、との理由からなのでしょう。

しかし、全国賃貸住宅新聞(No.1261)によると、都会から地方への移住を希望する人が増えているようです。

若い世代もふるさとへ

東京都千代田区にある、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターを訪れる相談者が増加しているというニュース。

2016年は、相談に訪れた来場者数が2万6,426件。

2015年の2万1,584件から22.4%も増加したことになります。

また、調査を開始した2008年以降、40代以下の移住希望者が増えています。

2008年に40代以下は全体の3割程度だったのに対し、2016年は7割近くを占めています。

若年層の増加に伴い、移住先での就労を希望する来場者が8割を超えました。

都会暮らしに疲れた若い世代が、空気の美味しい地方で地に足をつけた暮らしがしたいと感じるようになっているのでしょうか。

意外と人気の高い移住先

移住先の地域として人気があるのは

1位が山梨

2位が長野

3位が静岡

やはり富士山の周りが人気なのか、それとも何か他に理由があるのかは記載がありませんでした。

東京・大阪で家賃が回収できない問題

一方、同じ新聞の一面には「大阪府営住宅、未回収家賃の累計30億円」という見出しがあり、大阪府では330団地12万7千戸ある公営住宅での家賃未回収金について、平成24年度から改善が見られないそうです。

東京都営住宅は26万戸あり、平成22年度の約24億円から家賃未回収額は毎年1億円ずつ減少しているものの、平成27年で約15億円にのぼります。

都会には、家賃を滞納する高齢者層が多いということでなのでしょうか。

ちなみに、国交省によると、公営住宅の入居応募倍率は7.5倍と高い水準を維持し、今後も世帯収入が低い高齢者がさらに増加することから、受け皿となる公営住宅はますます足りなくなってくる見込み。

「都会にいて年金暮らしを迎えても豊かな生活は望めなさそうだから、早めに地方に行ってのんびりするか」

と考える人が増えたと見るのは少々強引な見方でしょうか。。。

いずれにしろ、人口増加が見込める地域だから自分の物件も需要がある、地方だから将来性がない、と決めつけるのは早計です。

イメージや思い込みで購入物件の場所を選ぶのではなく、その地域の特徴をよく理解して、入居者づけのたしかなエリアとそのニーズに合った物件を選ぶべきですね。

自宅から2時間以内が理想?

何かあれば駆けつけたいという心理

「不動産を買うなら、自宅から2時間以内で見に行けるところに買いたい」 という人がいるようですが、思わず「なぜ?」と聞いてみたくなります。

自分が買った物件を、ときどきは見に行ってみたい 、何かあった時にも現場に駆けつけられるようにしたい、と思うのかもしれませんが、時々見に行ったとしても、何もすることはありません。

思ったより移動時間は短いもの

北海道でも福岡でも、飛行機であっという間に移動できます。自宅と同じ都道府県内にあっても、移動時間は地方とさほど変わらないこともよくあります。

外観だけなら一度見て写真を撮っておけば充分です。万が一、物件に何かが起きた場合には、対処方法を知らない オーナーが現場にいても何もできません。

遠隔地にあることのメリット

遠い場所・見知らぬ土地の物件を観に行くことで、旅行気分を味わうこともできます。出張として経費計上できることもあるし、美味しいもの食べられるチャンスなど、発想を変えて楽しんでみることも一案です。

また、いろんな場所に物件を分散させることで天災リスクに備えることにもなるし、同じエリアに所有しているオーナーさんとの人脈ができるなど、行動範囲を広げることでさまざまな視野も広がります。

管理会社はどこにある?

管理会社を訪問することは、何度も物件の現場に足を運ぶことよりも重要度が高いと言えます。その点では、管理会社の所在地の方が影響が大きいかもしれません。距離とは別に、コミュニケーションのためにフットワーク軽く動くことは大切です。

大事なのは、 どこにいても管理会社の方ときちんと連絡が取れるうにしておくことです。そして素早い判断をすることがオーナーの役目です。

駅からの距離はどこまで重要か?

駅近に越したことはないけれど

駅から歩いて行ける距離が◯分以内、を条件にする人がいますが、 実はこれも空室率と密接な関係があるとは言い切れません。 駅からバスで何十分もかかる距離であっても、 きちんと満室になっている部屋はいくらでもあります。

ほぼ同じ条件での比較実例

実際に私が所有する2つのマンションは、1つが駅徒歩20分、もう1つが徒歩4分。間取りはどちらも同じ1K3点ユニットです。それでも徒歩20分の方は常に満室ですが、徒歩4分の方は回転が早く、頻繁に入居者がつくけれど退去も多くてなかなか満室になりません

マーケットデータに揺さぶられる

人口動態統計と賃貸経営の関連性

不動産投資は10年先・20年先の人口動態を見通して行うべき、というマーケットデータを目にします。

確かにその通りだとは思いますが、10年も20年も先の、人の動きを見通すなんて、なかなか難しいのが実情です。

国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、2035年までの全国の人口増加率マイナス16.2%と推計されています。

全国的に人口減少が進むことは間違いなく、そうなると賃貸市場の空室率も上がることになります。だから不動産投資はこの先、危ないんじゃないか、とどこかの評論家の言葉を信じて、はじめる前から諦めている人がいるのも残念です

人口は減っても、それはあくまでも全国平均の話。東京都や神奈川県・沖縄県など、マイナス予測が小さいところも当然ながらあるし、私たちのような個人でやっている不動産投資の目線では、もっとエリアを絞って、同じ県の中でも人気のある市や区、駅の周りなど、個別の視点で着目すべき点はいくらでもあります。

人口増加地域の「あるある」運命

私が初めて購入した新築木造アパートは、千葉市の郊外で、JR京葉線の始発・終点の駅だったため、これから都市開発が進んで街が活性化し、どんどん人口が増えると言われていました。

そしてたしかに、あっという間に人は増えていきましたが、同じような新築アパートが次々と建てられるようにもなりました。しかも私のアパートよりも設備が新しく、それでいて家賃の安い部屋が増えていったのです。

その結果、一旦空室が出るとなかなか埋まらなくなり、新築当初の家賃よりも5千円〜1万円下げないと見向きもされなくなりました。こうしてわずか2年足らずで家賃収入が減り、入居付けの度に広告費が嵩んで厳しい収支になりました。

気になる空室率。でもその実態は・・・

現状の空室率を見ると、全国平均は約18%。

将来の人口減少に伴って、理屈では、物件の増加とともにこの空室率はさらに上がっていきます。

物件が増加している理由は、相続税対策でアパートを立てようとする地主さんが多いことが一因です。そして地主さんが土地を多く所有しているエリアは、比較的人口が限られている郊外にあるケースも多いです。

相続税対策のために物件を建てるなら、特に満室にこだわることもありません。融資の割合が少なければ、焦って満室にしなくても困らないのです。

こうなるとますます空室率は高まる一方ですね。このような、とくに空室率を気にせず、建てることが目的で生まれた物件を、見せかけの高利回りに惹かれて間違ってつかまされないように、気をつけなければなりません。

全国平均はあくまでも平均値。個別に見れば、すぐに埋まる物件もあり、ガラガラの物件もあるわけです。大事なのは自分の物件を満室にすること。そこには全体平均を気にするよりも、客付けの施策をしっかりとできる管理会社との関係を構築する方がはるかに重要です。

人口よりも雇用に着目

もう一つ着目しておきたいのは「雇用」です。

不動産投資の隠れた原資は「人」であり、雇用のあるところに人は集まります。学校や病院、工場など、街の発展とともに人口が増えるエリアもあるし、必ずしも人が増えないとしても需要が底堅いとか、人が集まってくる根拠を抑えておくのもポイントになります。

それでも10年先・20年先の保証があるわけではないので要注意です。

まとめ

全国平均や推計データというのは、あくまでも参考値であって、これを鵜呑みにすると、判断を誤ることがあり得ます。

前述の空室率の平均が18%に対して、私の所有物件は常に95%以上を維持しています。そしてそんなオーナーは全国にいくらでもいます。

データの活用方法はあくまでも「参考」です。その数値に楽観したり悲観したりしても前には進みません。今、自分がすべきことは何か、を自分自身に問いかけられれば、それで十分なのです。

収益不動産とは、自分が住みたい部屋を買うのではなく、 その地域の需要の多いターゲットをにらんで買うことがベストです。 「そんな正確なマーケティングはできていない」という方は、まずは「物件はどこに買ってもいいんだ」ということを 肝に銘じておくことをお奨めします。

どこに買うかをまず先に決めよう、ということを条件に考えるなら、その理由をもう一度考えてみてください。どこにいても、どこに買っても、管理・運営していけるのが 収益不動産の素晴らしいところです。