「給与収入だけでは生活が苦しくなってきた。このままでは将来が不安だ。」
年金受給開始年齢も引き上げられるし、いくらもらえるかもわかりゃしない。」
老後の生活は不安だけれど、だからといって今何をすればいいのか・・・」

そんな悩みを抱えるサラリーマンの方には新築木造アパートが最適、という考え方があります。

それはある意味、正解なのですが、不動産投資に「良い面だけ」ということはあり得ません。メリットもデメリットもきちんと理解した上で、覚悟を決めて踏み込むべきです。

これから初めて不動産投資をしようという方のために、私の体験を踏まえた新築木造アパート投資のポイントをお伝えします。

新築木造アパートの魅力は「安心感」

初心者が投資しやすい木造アパートというのは、1棟で6室〜10室の単身世帯(1Kもしくはワンルーム)の建物です。

最近は「デザイナーズアパート」といって、ロフトメゾネットタイプのおしゃれな間取りが増えていますので、パッと見もかっこよくて入居者に選ばれやすいように工夫されている物件が多いです。

そういう新築木造アパートは、大体5千万円〜8千万円程度で売られ、知識や経験がなくても、そして自己資金が少ない方でも(場合によっては0円でも)比較的購入しやすい物件といえます。

なぜサラリーマンが新築木造アパートを買えるのか

 金融機関がお金を貸してくれやすい

頭金があまり無くても源泉徴収票を見せるだけでお金を貸してくれる銀行があります。

その理由は、安定収入があることで、万が一返済できなかったときの担保になる、という見方をしてくれるからです。定職に就いていることは、銀行目線から信用力があるということです。

新築だから客付けがしやすい

入居者の視点で見れば、古いよりも新しい方が良いに決まっています。内装だけでなく室内設備も、次々と新しいものが導入されるので、入居者にとって魅力的に映ります。

家賃体系も、古い部屋に比べて強気に設定できるので、それだけ高収入につながります。

満室になればほとんどやることなし

基本、運営を管理会社に任せれば、家賃収入3〜5%を支払うことで、入居者づけから家賃回収突然のトラブル対応まですべてやってくれます。

老朽化による修繕外壁の塗替えなど、物件を所有していればいずれは免れない修復も、新築であれば当分の間、必要ありません。

満室さえ維持できれば、オーナーは特にやることがありません。ただ毎月通帳にお金が振り込まれるのを確認するだけになります。

返済しながらも毎月キャッシュが得られる

ローンは背負うけれど、ほとんどの場合、家賃収入で全額を賄うことができ、うまくいけば
毎月3万円〜5万円手残りがあります。

ワンルームマンション投資では、家賃収入から経費を引くとほとんど手残りがない、もしくは少しずつ自分のお金から拠出しなければならないケースが多いですが、新築木造アパートなら多少の余剰金が残ります。

長い目で見れば将来は「土地持ち」になれる

25年〜30年の返済が終われば、土地建物が自分のものになります。その時点で売却すれば、たとえ建物の価値が0円であっても土地代として数千万円の大金が入るし、少なくとも土地の価値はそうそう下がるものではありません。

または売却せずに持ち続けても、返済がない分、収入が飛躍的に増えます。その時は大体30万円/月程度と予測されます。これで一般的な年金対策は充分でしょう。

たとえば今40歳なら、アパートローンの返済が終わる65歳頃には毎月30万円程度の収入が確保される、というわけですね。

生命保険代わりになる

個人で物件を購入する場合、借入時に「団体信用生命保険」に加入することになります。これは自分の身に何かあった場合に、ローン返済が全額免除になるということ。

そうなれば、家賃収入が入ってきて、わずかな経費を差し引くだけですから、純粋な「地主大家さん」として安定収入が得られます。

自分に万が一のことが起きても、残された家族に対して単に現金として生命保険を残すのではなく、長期間お金を生み出す収益物件を持っていた方がゆとりができるわけです。

私の1棟目も新築木造アパートだった

かくいう私も初めての1棟目は新築木造アパート(6室)でした。

多額(5,300万円)の負債も、万が一の時の生命保険代わりとして、普通に掛け金を払い続けるよりも、不動産物件として持っていた方が残された家族にも安定収入を残してあげられる、と考えたからです。

ところが、やがて大きな落とし穴に気づきました・・・。

新築木造アパートを買う時に気をつけたい落とし穴とは?

「一棟アパートのオーナー」という呼ばれ方は心地良いし、土地を持つことで長い目で見た時に資産価値が安定している、というのは魅力的な要素といえます。購入を決意するときには素晴らしい物件の写真と、そのエリアのアパート需要に期待が膨らむかもしれません。

一方、新築木造アパートを持ち続けた私の実感として、運営していく上ではいろいろと覚悟しておかなければならないことがあります。

単身向けの部屋は決まりやすいけど退去も早い

新築木造アパートの間取りは大体「1K」で、家賃は4万円から6万円、単身世帯が中心となります。

単身世帯は主に学生や単身赴任者が多く、居住年数がおよそ2年から4年。ファミリータイプに比べて入退去の機会が増えるため、どうしても頻繁に空室になることがあります。

期待したキャッシュフローが得られない

不動産経営というのは、家賃収入から

①管理会社に支払う管理費(約10%)
ローン返済(約55%)*自己資金を入れないケース
固定資産税(約5%)

を差し引いた分がキャッシュフロー(手残り)となります。

上記の木造アパートの場合、月々の家賃収入がおよそ30万円(@5万円×6室)とすると、キャッシュフローは30%=9万円です。

ここで、もしも6室中の1部屋が空くと家賃が入らないためマイナス5万円原状回復といって、元通りのキレイな部屋にするための費用が5万円、更に次の入居者が決まった時に仲介手数料1ヶ月分を不動産業者に支払うため5万円合計15万円が飛んでいくことになります。

もちろんこの分は自腹で負担しなければなりません。礼金1ヶ月分が入居者からもらえればよいのですが、単身世帯は競合が多いので、最近は「敷金礼金0円」での募集が増えています。

私の経験上、こういうことは普通に起きます。

周辺に新築物件ができる=大きな脅威に!!

管理会社の方が頑張ってくれて、すぐに次の入居者を決めてくれればよいのですが、近隣に同じようなアパートがあると、わずかな家賃の安さや、新築に近い物件から埋まっていくことが多いです。

今度は他者が建てた新築アパートの方が魅力的になり、後から建つ方が設備も優れていて家賃も安い設定になってしまうのが、新築カテゴリーの厳しい現実です。

せっかくの新築アパートも一旦退去されてしまえば、すぐに競合との差別化に神経を払わなければならなくなり、もっと家賃を下げなければ埋まらないことにもなり得ます。

そうなるとますます購入当初のキャッシュフローは維持できません。

そして時期を逃すと平気で半年以上空室のままとなり、その時は5万円×6ヶ月=30万円を失い、年間を通じてもほとんど手残りがなくなります

次の物件を購入する時、融資が受けにくくなる

新築で建売のアパートは、専門の会社が土地を仕入れて、グループ企業もしくは提携業者が建物を建てる、というスキームになっていて、販売まで一貫しています。

このため、販売価格には当然ながら土地を仕入れるまでの経費や物件販売の広告費が上乗せされています。したがって、実際の不動産価値よりも売買価格の方が高くなります。

こういう物件をフルローン(全額融資)で購入すると、融資金額よりも実際の担保価値の方が低くなり、金融機関からは「資産よりも大きな負債を負っている人」と見られます。

余分な負債を負っている人にはなかなかお金を貸せません。こうなると、次の物件を買う時に頭金がなければ融資がますます厳しくなり、いつになったらもう一棟買えるのかなぁ、という状況になります。

当分の間、売却もできない

いざ売却しようと思っても、実際の物件価値以上のローンを借りている場合はなかなか残債が減らないため、売るに売れません。売却して得たお金でローンがクリアできないからです。

また、個人で購入した場合には、5年以内に売却すると税率も高く、ますますマイナスになってしまいます。

新築アパートをフルローンなどで購入したら、とにかく満室を維持し、少なくとも5年は所有する覚悟が必要です。

目的に合った不動産投資を!

当面の間、キャッシュフローは大して残らないけれど、返済が終わった時には土地と建物が自分のものになり、売却もしやすくなるのが、新築1棟アパートの特徴です。

家賃収入を将来の年金の足しにしたい、もしくはいざという時の生命保険代わりに、というのなら、新築木造アパートが最もリスクの少ない物件ですね。

しかし「物件価格が高い」「購入時よりも家賃の下落幅が大きい」「次の融資の足かせになる」というケースも大いにあり得ます。

1-2棟の物件所有がゴールなのか、さらに規模を拡大していきたいのか。不動産投資の目的・目標を明確にして、その達成のために必要な物件を購入することが肝心です。

ワンルームマンション投資については、こちらの記事も参考にどうぞ
https://sakuragi-academy.com/blog/select/oneroom/