「今回の物件は積算が出ない」「この物件は売買価格より積算の方が上回る」なんていう会話を聞くことがあります。
「積算」とは何でしょう。
検索すればたくさんの解説が出てきますが、ここではこれ以上ないくらい簡単に、わかりやすく説明してみます。
積算という言葉を理解する
積算とは、積み上げて計算する、という意を踏まえ、「物件ができてから現在までの価値を金額に換算したもの」と言えます。
つまり「物件の現在価値」のことを言います。
さらに噛み砕いて言うとその物件は、今、お金に換算したらいくらの価値があるんだろう、という仮の評価額です。
ですので、土地と建物の価格を出すのに、土地の現在価格 と建物の現在価格=新築時から老朽化した分を割り掛けたものをそれぞれ計算し、合計しなければなりません。
さあ、やってみましょう。
「土地の価値」の計算方法
土地は「時価」ですので、毎年更新される国税庁のホームページから「路線価図」にアクセスし、物件所在地の価格(㎡単位)を調べます。
これを「路線価」といいます。
その後、その路線価に物件の土地の広さをかけ算します。
例えば、路線価が7万円で、広さが100㎡であれば、
7万円×100=700万円
が、土地の現在価値となります。
「建物の価値」の計算方法
建物の値段は、それぞれの構造によって掛け率が変わります。
鉄筋コンクリート(RC)20万円/㎡
重量鉄骨・・・・・・・18万円/㎡
軽量鉄骨・・・・・・・15万円/㎡
木造・・・・・・・・・15万円/㎡
実際にいくらで建てられたのかは関係なく、あらかじめ定められたこの金額を当てはめることになっています。
たとえばRCの場合、延床面積が200㎡である場合には
20万円×200=4,000万円
これが新築時の価格になります。
そしてここから築年数の分を割掛けるため、法定耐用年数のうちどれくらい期間が経過しているか、という比率を出します。
RCの法定耐用年数は47年ですから、その建物が築10年だった場合
残りの耐用年数は(47−10)=37年ですね。
だから 先程の 4,000万円に 37/47 を掛けます。
従って、200㎡・築10年のRCは
20万円×200×37/47=3,149万円
が、建物の「現在価値」となります。
新築時には4,000万円と算出されたものが、10年経つと3,149万円になっているわけです。
あくまでも計算上の「現在価値としての評価」ですが。
法定耐用年数とは?
参考までに、法定耐用年数を構造別におさらいすると
RC造47年、重量鉄骨造34年、軽量鉄骨造27年、木造22年です。
法定耐用年数についての解説はこちら。
そして先ほどの100㎡の土地の現在価値 700万円と合わせ、
700万円(土地)+3,149万円(建物)=3,849万円
が、土地と建物を合計した「積算価格」となります。
うわぁ、何か面倒だなぁ、と思った方、私も同感です。
自分で計算するのが面倒な面倒な方は、こちらのシミュレーションソフトを使うとラクです。
「路線価」だけはご自分で調べていただかなればなりませんが。
積算が決める価値
不動産業界では、この「積算」は公の試算基準として用いられています。この積算価格を目安に融資金額を決める金融機関があることから、積算価格が売買価格よりも「高い」と有利になり、融資を受けやすくなるわけです。
しかし、積算だけが物件の価値を決めるわけではありません。
もう一つの代表的な指標「収益還元法」も重要ですので、両方の評価方法を心得ておくことが肝心です。収益還元法ついておさらいをしたい場合はこちらをご参照ください。