アパートやマンションのように、賃貸をして家賃収入を生み出す物件のことを「収益不動産」と呼びます。
収益不動産の売買が行われる際にはその不動産の価値を評価する特定の方法があり、主に金融機関がお金を貸し出す際の根拠にもなりますので、これから収益不動産を購入しようという方は、ぜひとも覚えておくべき項目です。
不動産の評価方法には主に「収益還元法」と「積算法」の2種類があります。もっと複雑な言い方もありますが、本質的にはこの2つを抑えておけば大丈夫です。
金融機関がどちらを採用するかで融資額が大きく変わってきます。この2つの価格算出方法を理解して、融資に立ち向かうことが大切です。
ここでは「収益還元法」について解説します。
収益還元法とは?
その物件がいくらの収益を生み出すか、という「収益力」で価値を測る方法です。「収益力」を測るには、まずその物件の家賃収入がいくらなのか、を見ていきます。
その年間家賃収入を、何%の利回りで考えるか、というのが「収益還元法」です。
◯◯法といっても何かの法律で定められたものがあるわけではなく、単に年間家賃収入を想定利回りで割って、物件の価格を算出する方法のことです。
収益還元法の計算方法
例えば年間の家賃収入が200万円だったとしましょう。
その200万円の収益を生み出す物件全体の価格を計算するとき、
「利回り」を何%にするか、を考えます。
「利回り」が10%なら、
200万円÷10%=2,000万円
これが物件の価格になります。
利回りが8%なら
200万円÷8%=2.500万円
利回りが5%なら
200万円÷5%=4,000万円
になります。
収益還元法からわかる、ちょっとしたこと
上記の簡単な計算を見るだけでも、利回りが高いと物件価格は安くなり、利回りが低いと物件価格が高くなる、というごく当たり前の法則も改めて理解できます。
都心など、物件価格の高いエリアは利回りが低くなり、それだけ収益性も低くなるということが容易にわかります。
収益還元法は何のために?
主な用途は金融機関が融資を検討する際、その物件の価値を評価するための方法として用いるものです。
利回りの高い物件であれば、数値の上では収益性が高いということになり、あとは実際の稼働状況が満室でその妥当性が認められれば、積極的に融資してくれるかもしれません。
利回りが低い物件は、それだけ物件の価格が高くなり、銀行の側からみたら、これから融資を受けて購入しようという人には厳しくなります。
しかし、現在その物件を持っている人の資産価値としては、利回りが低い方が価格が大きくなるので有利です。
所有物件を売る時には特に重要!
普段、物件購入時には価格から「利回り」を見て、どのくらいの家賃収入を得られるか、という見方をすることがほとんどですが、収益還元法を意識するときは主に「売却時」です。
今、物件の家賃収入がいくらで、何%の利回りだったら売れるのか、を検討するとき、収益還元法で考えていきます。
この場合の利回りは、もちろん売主が任意に決められるものですが、大抵の場合には近隣物件の成約事例をもとに、最近の傾向を鑑みて決めます。
成約事例よりも低い利回りの物件であればなかなか売れにくいし、成約事例よりも高い利回りを設定すれば、早く売れる確率が高まります。
売却時だけでなく、もしも所有物件を売りに出したらいくらで売れるのか、ということを常に把握しておくと、投資シナリオの中の「売り時」も自然に見えてきます。
物件の評価をするのには、収益還元法の他にもう1つ、土地と建物を別々に計算する方法に「積算法」があります。「路線価」という基準で土地の価値を算出し、「法定耐用年数」という基準で建物の価値を算出します。
積算について詳しくはこちらをご参照ください。詳しい計算を方法を解説しています。
https://sakuragi-academy.com/blog/basic/sekisan/