海外不動産に興味・関心のある方が多くいらっしゃいます。
投資関係のイベントに行けば必ずブースが出展されているし、関連書籍もたくさん出版されています。
そして円安になれば尚更、海外に資産を移す必要性を考えると海外不動産を検討するのも理にかなっています。
何よりリゾート地であればいざという時に自分でも利用でき、その土地のことにも興味を持てて視野が広がりそうです。
かつて私は2014年にフィリピンのグローバルシティというところに1室の区分所有型マンションを購入し、コロナ禍を経て、完成間際に売却して利益を確定しました。
まぁこれが成功か否かは考え方によると思いますので、これから海外不動産投資を検討している方には、私の体験談を通じて少しでも参考になれば幸いです。
*文中に記載されているお金の単位については、1ペソ=2.5円程度とお考えください。経理・財務関係の記事ではないので細かい金額については不問でお願いします。
2014年6月、現地視察
きっかけはとあるビジネスコミュニティのイベントでした。マニラ不動産に興味のあるメンバー100名弱がツアー形式で現地を訪れ、責任者の紹介・担当者の説明を聞いて、納得した人だけが帰国後に申し込むシステム。
場所はフィリピン。マニラの中でもグローバルシティといって、元米軍基地だった場所が開放されて都市開発が行われる、まさにこれからの発展が約束されたようなエリア。東京でいうと新宿と六本木、銀座が合わさったようなところ、とたとえられていました。
フィリピンが有望な理由
当時のフィリピンは平均年齢23歳と若く、公用語が英語でかつ低賃金ということから、英語圏の国々のサポートセンターとしてのビジネスアウトソーシングではアジアNo.1。
約5,000万人の国民が海外へ出稼ぎに行き、国内にいる家族へ送金することによって消費が活発化。たしかにマニラ中心街には大規模なショッピングセンターがいくつもありました。すでに発展してきているマカティという中心地には、高級ホテルやおしゃれなレストラン、カフェが立ち並び、快適な暮らしがイメージできます。
アメリカの大手格付け会社からも投資適格国としても格付けされており、GDP成長率も右肩上がり。
若い人中心で、現時点では低賃金ベース、そして公用語が英語で消費生活も上向きなのですから、これから大いに経済が発展する可能性が高いことは容易に想像できます。
経済が発展すると、生活レベルが向上し、やがて高級マンションができるのはどの国でも同じ。だから発展途上のうちにマンションを購入して、価値が上がったら売却して利益を得よう、と発想していきます。
フィリピンの特殊事情
フィリピンでは高額商品を一括で購入する人は皆無、と聞いています。店頭に並ぶ商品も、お店によってはそのものの値段よりも「月々いくらの支払い」という表示の方がメインになっています。
つまり国民の文化として「お金を借りて商品を買い、少しずつ返済していく」ということが根付いているようにも見えます。それほどにローンが定着していることから、消費者金融業もいろいろな形で波及しているようです。
新築物件はプレビルドで
不動産を購入する時はさらに特徴的で、物件が完成する3〜4年前から毎月3〜6万円を積立てるようにして支払います。これを「プレビルド」と呼びます。
そうして物件完成時に残金を一括で支払うか、もしくはそこでローンを組むかの選択になります。
さらには「ノンリコースローン」といって、物件を手放せばローン返済の義務はなくなります。
私の購入物件
私が購入したタワーマンションの一室は、1ベッドルーム+駐車場付きのプランで680万ペソ、当時のレートでおよそ1,600万円くらいでした。
前述のプレビルド方式のため、完成までの49ヶ月間、毎月29,000ペソ(約56,000円)を積立てながら支払っていきます。
当案件ならでは?の特殊事情
よくあるパターンなのかレアなのか、今となってはわかりませんが、この時の不動産販売会社(代表は日本人)は、同時に消費者金融事業も展開していました。
現地ではこれを「レンディング」と呼びます。
消費者金融が一般的に定着している社会状況下で、貸金業も手堅く展開され、そのための資金集めに不動産売買をセットにしようという発想。
自己資金をかけずに買う方法
私のような不動産購入希望者からお金を集め、それを消費者金融の資金に充当します。
お金を借りる国民からは月利5%(月利です!驚き!)で貸し付け、私たち投資家へは2%のバック。主催の会社は十分に利益があるし、私たちも2%金利をプレビルドの資金に充当することができます。
具体的には、最初に400万円を預けることによって、毎月8万円を利息として得られ、そのうちの56,000円をプレビルドの物件購入資金に充て、完成時には利息の余剰金(差額14,000円×49ヶ月分=686,000円)と元金400万円は物件購入費用に充てられます。
その上、完成時には物件価格が上がり売却益も期待できるとなれば、もはや相当儲かるとしか思えないこのスキーム。
リスクといえば、全てが詐欺であるとか、レンディングなんていうものがまともに機能しないか、物件が完成しないとか。
騙されたときには「勉強料」と考える
物件価格は1,600万円。そのためにプレビルドのお金を毎月送金し続けるか、先に400万を預けてレンディングに投資し、利息で支払うようにするか。
私はほとんどの人と同じように後者を選びました。これがもし詐欺案件だったとしても、主催者側の丁寧な説明にとりあえず理解・納得したし、何より自分でも現地を見に行っているのだから、万が一裏切られた時には「勉強料」として割り切ることにしました。
手続きをした後の戸惑い
2014年6月の購入手続き以降、ときどき現地から書類が届き、サインして返送したりなど、それなりに進行しているような印象はありました。
でもやっぱり全ての書類が英語のため完全には理解できないことが不安だったし、現地の仕組みや仕事の進み具合までは不透明感が拭えないので、2年後の2016年6月、他の用事も兼ねて自らもう一度マニラへ赴きました。
そこでは日本人スタッフさんが親切・丁寧に対応してくれて、月々の支払いがレンディングによる利息配当金できちんと支払われていることを確認でき、その時点までの余剰金(105,600ペソ=約25万円)を直接現金で受け取ることもできました。
フィリピンあるある
それからまた2年が経ち、完成予定の2018年8月を迎える頃、「フィリピンあるある」の状況が。
そもそもフィリピンで不動産が予定通りに建ち上がるなんていうことはない、と当初から言われてはいましたが、案の定1〜2年延びる、との連絡。
しかしこちらが資金を拠出しているレンディングは期限を49ヶ月としており、期間満了にあたり元金+余剰金がその1年後に返還されました。
いつ完成するかわからないけれど
この段階では、もう元金も利息付きで全額返ってきたし、仮に騙されたとしても利息で支払ったことになっている物件のプレビルド代金143万ペソがパーになるくらいで、正直言って精神的には楽でした。
しかし契約している以上、物件完成時に残金537万ペソ(約1,200万円)を支払わなければならないわけで、その分の資金を準備しておかないといけないことと、もしもローンを組むなら今度はかなり高金利になることを覚悟する必要があります。
理想を言えば、完成と同時に価値・価格が上がり、高値で売り抜けること。そうすればローンを組む必要もなく、売却益だけを得られます。
2020年3月、再び現地へ。
無事に元金が返還された翌年の2020年3月、念の為現地の様子を確認しておこうと思い、たまたまクレジットカードのポイントが貯まっていたので子供達を連れて現地へ。ビジネスクラスの飛行機も5つ星ホテルの宿泊も全てポイントでまかないました。
現地ではまた新たに日本人スタッフ2名と繋がりを持つことができ、LINE交換もできました。
そして途中まで出来上がっているタワーマンション物件を遠くから眺め、街はたしかに想定通りに発展していることをこの目と足で実感して帰りました。
後半に続く→『私のフィリピン不動産投資(後編)』